日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.164 【二酸化炭素の不思議】下降時・上昇時それぞれの脳への影響とは?

質問

PaCO2が身体に溜まると悪いというイメージはわかりやすかったのですが、PaCO2の下降・上昇でいずれも意識障害が起こるのはなぜですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

ご質問の通りPaCO2は、下降時、上昇時ともに意識障害を起こします。
それぞれの理由を説明していきます。
下降時には、血管拡張作用を持つ、PaCO2が少なくなるため、脳血管が攣縮し脳血流が下降することで、意識障害が起こります。
一方で、上昇時の意識障害の原因はアシドーシスです。
アシドーシスになると、カルシウムイオンの感受性低下により、心筋収縮力の低下や、神経細胞における興奮性シナプス伝達抑制が生じるといわれています。
その結果、不整脈、中枢神経障害が起こり意識障害を生じると考えられています。
当然ながら、下降時、上昇時では対応が異なるので、意識障害という同じ事象ですが、検査データから病態を見極めて、離床の方針も考えられるとよいと思います。