
質問
慢性呼吸不全に口すぼめ呼吸が良いということですが、そもそもなぜ口すぼめ呼吸は呼吸困難感に効果があるのですか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
口すぼめ呼吸は、「気道を広げる」効果があるからです。
もう少し詳しく解説すると、口すぼめる=空気の出口を狭くすることで、一気に出ていけない空気が、気道を押し広げるので気道が広がるのです。
このような原理を「PEP(Positive expiratory pressure)効果」と呼び、気道や肺胞の虚脱を予防し、呼吸数の減少や一回換気量の増加が期待できます。
慢性呼吸不全(COPD)では、気管支や肺胞の炎症や変性によって、気道が十分広がることができず、息を「ハー」と吐くことができません。
このような病態には、口すぼめ呼吸が有効です。
実際に、離床時にSpO2の低下や呼吸困難感がある場合に、動作に合わせて口すぼめ呼吸を徹底して行うと、患者さん本人が驚くほど動作時の呼吸が楽になることがあります。
呼吸が苦しくて離床が進まないCOPD患者さんがいたら、是非、試してみてください。