
質問
血液ガスデータQ&A 静脈血の検査の意義とは
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
患者さんの全身状態を把握して、
離床できる状況かを判断するために、
血液ガスデータのチェックは大切ですよね。
通常、血液ガスデータは動脈血を検査しますが、
時々、静脈血を採ることがあり、
「間違い?」と疑問に思ったことはないでしょうか。
実は、臨床では静脈血を狙って検査することがあるのです。
静脈血ガスと動脈血ガスのデータの違いは、
PaO2やPaCO2の値は異なりますが、
pHやHCO3-は値が大きく変わらないという特徴があります1)。
これらの特徴から、酸塩基平衡の評価は
静脈血ガスでできるということが分かるので、
「アシドーシスやアルカローシスがあるか」
「腎不全でHCO3-が知りたい」などのときに使えるのです。
当然ながら、動脈に比べて静脈血の採血のほうが、
止血時間が短く、手技も用意であるため、
救急対応が必要な場合や、安静を保てない小児などでは有用なのです。
静脈血ガスが採られていたら、
数値の特徴を把握して酸塩基平衡の把握に活用してみてください!
文献
1) Benjamin M Bloom et al. The role of venous blood gas in the emergency department: a systematic review and meta-analysis. Eur J Emerg Med. 2014 Apr;21(2):81-8.