日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.146 【痛みが強くて離床できない!】薬が効かなければお手上げか

質問

消化器外科術後の患者さんで、鎮痛剤を使用しても疼痛がVAS 7以上が持続し離床が困難な事例がいました。鎮痛剤でコントロールできないときは無理しないほうが良いでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

VAS(Visual Analog Scale)で7ということは、かなり強い痛みですので、たしかにそのまま離床を強制するわけにはいかないと思います。
しかし、鎮痛剤が効かない場合でも、諦めずに、他の方法を試してみることをお勧めします。
1つに鎮痛剤の効果がある時間帯を確認しましょう。薬にはTmaxといって、最高血中濃度に到達する時間があり、薬剤ごとに異なります。一番鎮痛効果が得られている時間に離床をトライしてみましょう。
2つ目に離床の説明です。
この患者さんは離床の重要性を十分理解されていますでしょうか。術前に離床の説明が不十分だと、「痛いのになぜ動かなければいけないの?」と、離床が進まないケースを経験します。呼吸法などとあわせて、術後痛みがあっても、動いて大丈夫であること、動くことの利点を術前からしっかりと説明することが重要です。
3つめに離床の方法です。
消化器外科術後では、腹部に創があるため、起き上がり動作が特に痛みが強く、大変な動作となります。コツとしては、側臥位となり、股関節を曲げたまま上肢の力を使って起き上がると、腹筋を収縮・伸張することなく起き上がることができます。
それでも痛みが強い症例では、枕を抱えて創を保護し、全介助で起き上がりをすると多くの方は起き上がることができます。
強い痛みを訴える患者さんには、是非、この3点を見直してみてください。
また、痛みの強い原因を注意深くアセスメントすることも忘れないでくださいね。