質問
気胸と診断されていてもX線画像でディープサルカスサインがみえないことがありますが、どのような場合ですか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
ディープサルカスサインがみえないのは、立位でレントゲンを撮影して、空気が上にあがっている場合です。
肺虚脱の程度にもよりますが、軽度から中程度の気胸の場合、撮影する体位の違いによりX線画像の所見が異なります。立位で撮影した場合は、気胸の空気は胸郭上部にシフトし、ディープサルカスサインの所見はみえません。
一方で、背臥位で撮影した場合は、虚脱した肺は背側に移動するため、漏れた空気は胸腔内の肺底部や縦隔寄りの腹側に多く貯留することになります。よって、背臥位では横隔膜上の腹側に空気が多く貯留することで肋骨横隔膜角が深くなるため、ディープサルカスサインの所見がみられます。ディープサルカスサインには、明確な基準がないので、以前のX線画像と比較することが大切です
X線画像は、撮影する体位や撮影方向によって得られる画像所見が異なるため、読影時に確認し、離床時に見落としがないように気をつけましょう。
・小林弘明:誰も教えてくれなかった 胸部画像の見かた・考え方,医学書院,156-158,2018.