日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.138 右上葉に無気肺はなぜ起きやすいのか?

質問

左よりも右上葉に無気肺ができやすい理由を教えてください

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

気管分岐の角度は、心臓の影響で、右のほうが開きが小さく下方を向いています。

そのため、右上葉のほうが左よりも空気が入りにくいという特徴があります。
呼吸が弱くなってくると、右上葉には、さらに空気が行き届かなくなるため、無気肺を生じやすいということです。
ご質問の方からは、「空気は軽いので右上葉も換気されるのではないか」ということも書かれていました。
おっしゃる通り、健常な状態では、気管分岐の角度による換気の影響は少ないのですが、かなり換気が少なくなる状態では、顕著になり無気肺を生じます。
よって、成人においては、右上葉に無気肺を作ってくる状況は、かなり重篤といえます。
対策としては、Head Up座位を取りPEEPを上げたり、換気量を調整していくことが考えられますが、もともと呼吸を弱くしている原因を究明することが先決です。
まずは原因をアセスメントし、その上で、無気肺だけにとらわれず、トータルな視点から患者さんの回復を考え、離床を検討していきましょう。