日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.118胸部レントゲン画像における「浸潤影」と「すりガラス様陰影」の違いとは

質問

胸部レントゲン画像所見として、カルテなどに記載されている「浸潤影」「すりガラス様陰影」の違いを教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

胸部レントゲンにおいて、透過性が低下している場合に使われます。

透過性低下は以下の2つに分類されます。
1.浸潤影(コンソリデーション):「真っ白でベタ塗り」の所見
2.すりガラス様陰影:「うっすら白塗り」の所見

なぜみえ方に違いが出るのかというと以下のような理由が挙げられます。

浸潤影は主に、実質性(肺実質に問題のある)肺炎でよく見られます。正常な肺胞というのは、肺胞内は空気で満たされていて黒く見えますが、浸潤影は肺実質の問題となりますので、肺胞内の空気が、浸出液や分泌物、痰などで置き換えられています。そのため、レントゲンでは真っ白ベタ塗りのような画像に見えます。

一方、すりガラス様陰影は、間質性肺炎でよく見られます。病態の特徴としては、肺胞内の一部分や間質に浸出液や分泌物はあるのですが、まだ肺胞内の空気は保たれている状態となっています。そのため、うっすら白塗りの画像となります。

その他に肺血管影の違いなどもありますが、判別がつきにくいのも事実です。我々に必要なことは「診断をつける」ことではなく「診断のついた画像からリスク管理して離床する」ことです。上記の異常所見では、動作時の低酸素血症などを認める可能性があります。安静時のみだけではなく、離床時・離床後1-2分程度は酸素化の変化に注意することが必要となります。