日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.116 自力でNPPVのマスク装着が難しい場合の対処

質問

在宅の患者さんで夜間のみNPPV(非侵襲的用圧換気療法)装着を必要とする方がいらっしゃいます。しかし関節リウマチにより手指の変形が著明で、マスクの上下のマジックテープのバンドを上手く固定することが出来ずに悩んでいます。何か良い方法はないでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

ANPPV(非侵襲的用圧換気療法)とは、講座でもご紹介した通り、鼻マスクや口鼻マスクを装着して行う人工呼吸療法です。

ご質問は、在宅の患者さんがマスクのバンド固定を上手く行えないということですが、第一選択は介助者を付けることと考えます。独居である場合や、介護保険適応外の方では介助者を付けることは難しいこともあると思いますが、呼吸器疾患であれば、その疾患によって障害者手帳等の交付を受けることも可能です。
お住いの市区町村の担当者に、その旨を相談するのも一手であると思います。

また、マスクやベルトに工夫をすることで、固定がしやすくなる方法もあるでしょう。
関節リウマチの方であれば、ベルトをマスクの狭い間に通しさらにマジックテープで固定するという作業は本当に大変かと存じます。

考えられる対処法の1つは、ベルトをあらかじめマスクに通した状態にしておき、指を通せるリングなどを縫い付けることです。こうしておけば、リングに指をかけてマジックテープを固定するだけで、装着が可能となります。ただし、マスクやベルトに改良を加える際は、呼吸器のメーカーさんに連絡を取って、呼吸器の回路を阻害していないか、安全上問題がないかを確認するようにしてください。また、ある程度、マスクのベルトをあらかじめ締めておき、それを帽子のように少しずつ被っていくような方法も一手となります。少し緩めになるかも知れませんが、リーク量に問題がなければこちらの方法でも良いかと思います。

上記設定を施行する上では必ずリークや換気量などのチェックを行い、安全な状態であることを確認することが必須となります。