日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【血圧だけをみて離床はキケン!】併せてみるべきアセスメントとは

離床のリスク管理として、血圧をみることが重要なのは言うまでもありません。

でも、それだけでは急変の前兆を見落とすことも…

そんな循環に関するクイズです。是非、解いてみてください。

Q.血圧と手足の触診の所見で、急変の可能性があるものはどれか。

1.血圧は正常 手足は冷たい
2.血圧は低い 手足は冷たい
3.血圧は低い 手足は温かい

A.
急変の可能性があるのは「全て」です。それぞれ解説していきます。

1.血圧は正常ということは、ある程度循環は保たれているといえますが、手足が冷たいという点がポイントです。

手足が冷たいということは、末梢血管を締めて(血管抵抗を高めて)、なんとか血圧を維持している状態と考えられます。心不全や出血などの代償として、中枢の重要臓器に血流を維持するために、末梢の血管を締めて、末梢の血流を中枢に集めていると考えられます。つまり、この時点では血圧が維持されていますが、これ以上負荷をかけると、代償が破綻する可能性もあるので、急変の一歩手前と考えられます。

2.は、1.と考え方は同じで、循環がうまくいっていない代償として、末梢血管を締めているため、手足が冷たいと考えられます。

しかし、末梢血管を締めても、血圧が低いということは、1.状態よりも悪く、急変にかなり近いと考えられるため、積極的な離床よりも、循環の安定が優先となります。

3.は、血圧が低いので循環不全があります。

では、なぜ手足が温かいのかというと、敗血症による血管拡張が考えられます。敗血症では細菌やウイルスにより全身に炎症がまわる状態で、この病原体が、血管にも機能障害を起こし、本来、末梢血管を収縮させたい循環不全にも関わらず、血管が拡張して、手足が温かくなると考えられます。このような状態を敗血症性ショックと呼び、かなり重篤な病態になります。

臨床では、血圧の値だけで離床の可否を判断せず、手足の触診から、末梢血管の状況も予測してみてください。