日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【肺胞呼吸音はすべて異常か?】見えない肺を見える化する聴診法

Q.
肺炎で入院となった人工呼吸器管理下の70歳代の女性。入院3日目、抗菌薬も効き解熱傾向にあった。バイタルも安定しているため、本日ヘッドアップ60度まで行った。その時、背側肺の聴診でパリパリという乾いた音が聴取された。この患者さんのアセスメントで正しいのはどれでしょう?

1.水泡音(コースクラックル)が聴取されたため、痰が多い可能性がある
2.いびき音(ローンカイ)が聴取されたため、中枢気道が狭窄されている可能性がある
3.捻髪音(ファインクラックル)が聴取されたため、虚脱した肺胞が少しずつひらけている可能性がある
4.笛声音(ウィーズ)が聴取されたため、気道狭窄による喘息発作が起きている可能性がある

肺の聴診によるアセスメントについて解いてみてください。

A.
肺の聴診でパリパリという乾いた音が聴取されたということは、捻髪音(ファインクラックル)です。
これは、虚脱してしまった肺胞が、何らかの影響で開いているときに聴こえる音です。
今回は、人工呼吸器による陽圧換気、ヘッドアップによる換気効率が改善された影響が考えられます。

大切なのは、音の性状から肺の状況を判断して次の一手につなげることです。
異常呼吸音という一括りにされている捻髪音ですが、治療や離床の効果が得られているアセスメント結果です。
離床の継続、もしくは次の段階へのステップアップも考慮できる可能性があります。

是非、アセスメントにお役立てください。