日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

せん妄と認知症の違い

Q.
せん妄も認知症も、見当識障害や注意力障害など共通する症状を多く呈するため、 完全に見分けることは難しいのが現状です。しかし、アセスメントする上では、違いを理解することは重要です。
さて、せん妄と認知症の違いについて、2つ以上挙げてみてください。

A.
せん妄と認知症の違いを一言で表すと「意識障害」があるか、ないかです。せん妄とは、なんらかの影響により脳血流や脳代謝の異常を生じ、2次的に脳の機能低下が起こり、意識障害をきたしている状態を指します。
一方、認知症とは、一度正常に達した知的機能が、後天的な脳障害によって持続的に低下し、意識障害がないにも関わらず、日常生活に支障をきたす状態を指します。そのほかに両者の違いのポイントは、「急性の発症」と「症状の変動」です。
せん妄は、発症時期をある程度特定でき、1日のうちで症状の変動を認めます。たとえば、夜間に不穏になり、ルートを引っ張ろうとする危険行動がみられるが、朝になると落ち着いている。これはせん妄の特徴的な症状です。
認知症の症状は、アルツハイマー型認知症では記憶障害、レビー小体型認知症では幻視など、病型によって異なります。また、急に発症することはなく、徐々に症状が進行することが特徴的です。

是非、アセスメントにお役立てください。