日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【学術大会演題発表のQ&A大公開】

先日行われた、日本離床学会 第11回 全国研修会・学術大会での一般演題発表の発表動画を公開し、皆さまから質問・コメントを募集しました。

その質問・コメントについて、発表者からの回答がありましたのでシェアいたします。

臨床的な質問と回答で、とても参考になるので、是非、ご覧ください。

演題名:感染症によりPICSを生じた症例に対し、個別リハと離床チームでの介入により歩行獲得へ至った経験

【質問・意見】

1

患者様に離床チームで介入されている時間は、セラピストも同席されているとのことでしたが、コスト算定はどのようにされているのでしょうか?疾患別リハとして算定できるでしょうか?

→結論からお伝えいたしますと離床チームでの活動時にはコスト算定は行っていません。
普段行う書類業務やデスクワークなどをデイルームで行うことにより元々の業務を行いながら、患者様の離床活動を見守る形で離床チームを運営していました。その中で、離床チームでの活動とは別に個別リハビリを行うスタッフには、離床チーム活動時間は可能な範囲でデイルームでの実施を行うよう協力して頂きました。それにより、個別リハビリを行いながら離床チームでの活動を見守る眼を増やす工夫も行いました。これらの工夫により総取単位数を削減することなく活動を行うことが出来ました。

2

この症例は60歳の既往歴のない症例で、重症からよくなった経緯だと思います。ベースでもう少し悪い患者さんの場合、もう少し早い介入が必要になる面もあるかと思いました。 例えば、31日から移乗動作獲得し、座位時間が確保されている。しかし、離床チームが42日から始まっています。この日数を早めるには、どのような工夫が必要になるのか?先生の施設の考え、もしくは、個人的な考えでも結構です。 教えてください。

→離床チームへの参加のためには早期車椅子座位の獲得とともに参加する際の時間短縮(病室→移乗→デイルームへの移動)や参加中のリスク管理をどう行うかがポイントになっていると感じています。そのため、主治医との連携、リハや看護師など他スタッフとの連携が重要ではないかと感じています。重篤な状態の場合、医師の治療方針を十分に把握し、患者様の状態に合わせてどの程度まで活動範囲を広げてよいか日々確認していくことで早期車椅子座位の獲得につながると思われます。
また、患者様が座位可能な状態であってもせん妄による危険行動やルート管理、離床・移乗動作時の介助量など一人のスタッフでは対応困難なことや患者様から離れることができないことが予想されます。その際に周囲のスタッフと協力し、離床時の介助量減少や座位での活動を見守ること、何か起きそうな時に声を掛け合える環境を形成することで離床チームへ参加する際の時間短縮や十分なリスク管理のもと遠位監視レベルでの座位活動が可能になるのではないかと考えます。
そのため、多職種との連携を図ることで早期離床拡大と安全面への配慮、そして参加時の患者様・スタッフの負担感軽減(介助量軽減やチーム参加時の時間短縮)が必要ではないかと考えます。
本症例の参加遅延についても上記内容が含まれていると感じています。
今回、離床チームの活動開始が、本症例の参加する1週間前程度に始まった点もありましたが、一番の理由は車椅子座位の自立に時間を要したためです。本症例は循環不全の影響と右鼠径部のCVカテーテルが挿入されていた点から離床開始が遅延しました。また、体重による影響から複数のスタッフによる介助が必要であり、血圧管理を含めて車椅子への離床にも時間を要しました。そして、離床開始後も殿部の膿による発熱が続いており、不安定な状態のため車椅子座位保持を獲得することに時間を要しました。全身状態や座位耐性能力だけではなくせん妄状態も生じており、危険行動もみられたことから常時付き添い離れることが困難な状態であったため、離床チームへの参加にかなり時間を要しました。
本症例での活動においても多職種との連携を強化することが出来れば、より早期に離床チームへの参加が可能だったのではないかと思われます。
また、ご指摘の活動についてですが当院離床チームは365日活動しております。ですが、休診日は出勤スタッフの人数も少なくなるため、新たに参加する患者様、特に重篤な状態だった場合にはまずスタッフの人数が豊富な日から始めることも多かったです。そのため、休診日の場合にもどのように連携し、安全に活動を行えるか検討することが必要だと考えます。