日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

離床推進ファシリテーター通信 VOL.3

当院ではE-MATはありませんが、他職種との連携、特に看護師との連携についての活動を紹介いたします。

 先ずは著者個人としての活動です。

① 部署内での勉強会の開催

若手職員からの要望もあって、不定期ですが1回/週を基準に勉強会を行っております。 現在は著者が受講した日本離床研究会のセミナーの内容を伝達するものが中心です。特に離床に向けた呼吸、循環に関するフィジカルアセスメントを含めた評価方法について、座学だけでなく、実技も併せて行っております。その他として文献抄読急変時やその予兆の対応法などについても実技を含めて行っております。

続いて当院リハビリテーション部としての活動です。

② 病棟での他(多)職種カンファランスに参加

全病棟ではありませんが、一部の病棟でのカンファランスにリハスタッフも参加して情報交換を行っております。病棟によっては、医療連携室スタッフ、栄養士、薬剤師等も参加しております。

病棟でのカンファランス風景

師長、主任を含む病棟看護師、医療連携室、リハスタッフが参加。 (因みに写真中央の身長の高い男性が著者)

③ 担当看護師とのいわゆる軒下カンファの実施

②の病棟でのカンファランスとは別に、リハスタッフが担当している患者の受け持ち看護師と個別に適宜情報交換を行っております。例えばベッドから車椅子への移乗が行える、移動が車椅子レベルから歩行器歩行へ改善した、病棟内トイレへ歩行可能となった等、特に基本動作やADLの変化、改善した際は適宜情報交換を行い、いわゆる「できるADL」と「しているADL」の差をなくすよう心がけております。

④看護師との勉強会

 整形外科病棟の新人看護師を対象に年に1回勉強会を行っております。内容は起居動作、移乗動作の介助方法松葉杖の使用方法(高さの合わせ方、歩行方法)が中心ですが、要望に応じて病棟看護師と話し合ってテーマを決めております。

看護師との勉強会の風景(左:移乗動作について/右:松葉杖歩行について)

整形外科病棟の看護師を対象に年に1回勉強会を行っております。 (左右の写真中央で立っている男性が著者)

今後の課題

当院には感染対策チーム(ICT)、褥瘡対策チーム、医療安全対策チーム(SCT)、栄養サポートチーム(NST)、認知症対策チームなど様々な専門的なチームが活動しております。リハスタッフもそれぞれのチームに所属して活動しておりますが、離床を目的とした活動が行えていない状況です。今後はそれぞれのチームを利用する、それぞれのチームに所属しているリハスタッフが離床を意識した活動をチーム内で行うことが今後必要になると考えています。

まとめ

新たなチームを作るのは大変な労力が必要と思われます。チーム作成は手段であって、目的は早期離床不必要な臥床による合併症や弊害の予防にあると考えています。まずは離床の必要性、方法、効果など情報を発信しながら、各病棟からの問い合わせ窓口となり、リハビリ部との連携に務めている段階です。最終的には当院全スタッフ、というより当院そのものがE-MATとなれば・・・と考えています。  

 日々の業務で私が心掛けていることの一つに『スタッフステーションに顔を出す』があります。スタッフステーション(詰め所、ナースステーションの当院での呼び名)には情報もさることながら人(他職種)も集まります。顔を出し、直接会って話をすることで誰がどの職種かが分かり、また自分の存在を相手に知らせることができます。そうすることでわからないことの質問がしやすくなり、逆に質問されることが増えたり、情報をシェアしやすくなったりとコミュニケーションが円滑になり、先述したカンファランスや勉強会がより深みを増してきます。 3人寄れば文殊の知恵、3本の矢の話など複数で協力することの大切さをうたった話はご存知のとおりだと思います。複数に加えて他職種が一緒になることで、より大きな力や変化が生まれるのかもしれません。 思い出してみてください。  

 ペンとリンゴとパイナップルが「あ~!」と一緒になった時、世界がどうなったかを。

久留米大学病院リハビリテーション部

日本離床研究会 離床アドバイザー

理学療法士 西村久徳