日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

離床学会資格認定試験問題⑦

【問題】

72歳男性。脊椎圧迫骨折を受傷し、保存的加療にて入院中。入院3日目、鎮痛剤にて疼痛自制内。軟性コルセット装着下で離床開始となる。離床前の呼吸・循環は安定、不整脈はなかった。ヘッドアップから端座位になり5分経ったところで、動悸を訴えたが、意識は清明で手足の冷汗はない。このときの心電図モニター波形を図に示す。この後の離床継続の判断について正しいものを一つ選べ。

選択肢:

  1. QRS波の形に異常はないため、自覚症状がなければ離床の継続は可能である
  2. 心室性不整脈であるため、離床の継続より治療を優先した
  3. 150回/分を超える頻脈であるため、離床を止め頻脈の抑制を優先した
  4. 心房細動であるため、心内血栓の確認が重要と考えた
  5. この不整脈の原因は、鎮痛剤の副作用と考えられる

【回答】

正解 3

解説

本不整脈は離床後に突然動悸を訴えていることから、発作性上室頻拍(PSVT)を起こしたと考えられる。PSVTでは、初期には意識レベルは保たれ、循環不全の症状もみられないが、高度の頻脈が持続することで徐々に心拍出量低下を認め、失神する場合もある。離床は一旦止め、頻脈発作のコントロールを優先すべきと考える。PSVTの原因は、心房や房室結節周囲にできたリエントリー回路といわれている。