日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

離床学会資格認定試験問題⑥

【問題】

遷延性意識障害(JSCⅡ-30)にて入院中の患者が誤嚥性肺炎を合併した。炎症所見は改善傾向だが、非常に喀痰が多い。呼吸状態改善のためのアプローチとして正しい組み合わせを1つ選べ。

選択肢:

a. 不顕性誤嚥を予防するため、背臥位の時間を極力減らすようにした
b. 持続的に換気量の増大をはかり排痰を促すため、徒手的呼吸介助手技を加えた
c. ヘッドアップ80度で口腔より流涎を認めたため、口腔内吸引を実施し、そのままの姿勢で呼吸状態の観察を継続した
d. 上部胸郭にラトリングを触知したため、呼気に合わせてゆっくりと胸郭に圧迫を加えた
e. ヘッドアップより前傾側臥位や腹臥位を優先して実施した

1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,e 5.a,c

【回答】

正解 5

解説

(a) 意識障害の患者を背臥位で管理をすると、唾液などの垂れ込みによる不顕性誤嚥のリスクが高いため、背臥位の時間を極力減らすべきである。(b) 徒手的呼吸介助手技を加えても、持続的な換気量増大効果は期待できない。(c) ヘッドアップによる流涎は、唾液の垂れ込みを予防する観点から良い反応と捉え、吸引後ヘッドアップの継続は可能である。(d) ラトリングを触知した状況で胸郭に圧迫(呼吸介助)を加えることは問題ないが、ゆっくりとした圧迫では排痰が期待できないため、呼気流速を上げる速い介助が必要。 (e ) 離床は縦に起こすヘッドアップを優先すべき。