日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

離床学会資格認定試験問題④

【問題】

82歳男性。併存疾患:慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)で2年前より在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)導入中。重症肺炎に伴う敗血症で入院し人工呼吸器管理となる。輸液とカテコラミンにより循環動態は安定。抗菌薬により感染のコントロールがついてきたため、本日より鎮静剤オフとなり、ウィーニングならびに離床開始の指示が出た。 この症例への離床介入において、適切でない組み合わせを1つ選べ。

選択肢:

a. はじめての自発呼吸トライアル(SBT:spontaneous breathing trial)中に離床を実施した
b. カテコラミン(塩酸ドパミン)投与中であったので、循環動態の悪化を懸念しカテコラミンが終了するまでは坐位にはしなかった
c. 過度な呼吸仕事量の増大をきたさないよう、1回換気量や呼吸数に着目して離床を進めた
d. 胸部レントゲン画像の所見では、昨日と比較し明らかな変化は認めなかったが、P/F比(動脈血酸素分圧/吸入気酸素濃度)が改善したので、呼吸状態は改善傾向にあると判断し負荷量アップを試みた
e. 離床に伴い一時的に呼吸困難感や呼吸数の増大を認めたため、少量頻繁の介入に努めた。更に数時間後や翌日の患者の状態を評価して総合的に離床への耐性を判断した

1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,e 5.a,c

【回答】

正解 1

解説

(a) SBT時に離床負荷を掛けてしまうと,ウィーニングに失敗した場合に,その原因が呼吸予備能の低下によるものなのか,離床負荷が強すぎたせいなのかを判別できない.特に本症例は併存疾患にCOPDを有し,呼吸筋が疲弊しやすいのが特徴である.したがって離床負荷がSBTの正否の判断を誤らせる可能性がある.(b)カテコラミン投与中であっても、低用量であれば座位まで離床する可能性もある。