日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

離床学会資格認定試験問題②

【問題】

離床後の循環状態のアセスメントとしてヘッドアップ80度で頸静脈を確認したところ、頸静脈の怒張を認めた。このとき原因として最も可能性が低いものを1つ選べ。

選択肢:

1. うっ血性心不全
2. 心タンポナーデ
3. 肝機能障害
4. 出血性ショック
5. 収縮性心膜炎

【回答】

正解 4

解説

頸静脈怒張は、体水分量の把握に有用なフィジカルアセスメントである。健常者でも背臥位では頸静脈怒張(拍動)がみられるが、45度以上ヘッドアップでは体水分が下半身にシフトするため頸静脈怒張は消失する。45度以上ヘッドアップでも頸静脈怒張が確認される場合は、右房圧上昇を疑う。問題では80度ヘッドアップで頸静脈怒張を認めるため、右房圧が過剰に上昇していると考えられる。典型的なのは1.うっ血性心不全である。その他、2.心タンポナーデ、3.肝機能障害、5.収縮性心膜炎でも右房圧を伴うため頸静脈怒張を認める可能性がある。出血性ショック時には、これらの病態とは異なり、体水分量が減少するため、頸静脈怒張は認めにくい。