【問題】
慢性心房細動、慢性心不全、陳旧性脳梗塞の83歳女性の離床を検討している。離床前の情報として服薬情報を確認した。薬剤と離床のリスクの関連として適切でないものを一つ選べ。
選択肢:
- エダラボン(ラジカット®)使用中であったため、離床前に腎機能・肝機能低下がないか確認した
- アジルサルタン(アジルバ®)はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)であるため離床中の血圧低下に注意した
- β遮断薬(アーチスト®)は心拍数をコントロールする作用があるため、離床中の徐脈に注意すべきである
- トルバプタン(V2受容体拮抗薬 サムスカ®)水と電解質の排泄を促すため、低ナトリウム血症に注意した
- 疼痛に対してNSAIDsは有効だが、高齢者では長期的投与は避けるべきである
【解答】
正解 4
解説
4 トルバプタン(V2受容体拮抗薬 サムスカ®)はナトリウムやカリウムなどの排泄を抑制しつつ、水分だけを排泄する作用を持つ利尿剤あるため4が誤り。同じく利尿剤であるフロセミド(ラシックス®)は、水分とともに電解質も排泄するため、電解質異常が副作用として問題となる。トルバプタンはそのような副作用のリスクがなく、利尿できる薬剤です。
1 エダラボン(ラジカット®)は脳保護薬であり、脳梗塞後の治療薬です。この薬剤は腎臓・肝臓代謝であるため、これらの臓器に負担がかかります。よって、腎機能障害・肝機能障害に注意すべきです。
2 アジルサルタン(アジルバ®)はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)という種類の降圧剤です。降圧剤使用中には、離床に伴い血圧低下を起こすことがあるので注意が必要です。
3 β遮断薬(アーチスト®)は心拍数をコントロールする作用があります。離床中に心拍が上昇しにくい状態となるため、徐脈に気をつける必要があります。
5 疼痛に対して使用されるNSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)は、高齢者では腎機能低下に伴い血中濃度が高い状態が持続することがあるので、長期投与は避けるべきとされています。