日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

離床学会資格認定試験問題⑩

【問題】

人工股関節置換術を施行された78歳女性の患者さんに対し離床を検討した。離床時の考え方について間違っている組み合わせのものを1つ選べ。

選択肢:

a. 術後レントゲンでカップの前方開角が35°であったため、より脱臼に注意し、動作指導を行いながら離床を進めた。
b. 術後、初回抗菌薬を投与終了後、30分以上間隔をあけてから訪室し、初回離床を行なった。
c. ホーマンズ徴候が陽性だったため、必ずDVTがあると判断し、離床をとどめた。
d. 術後、膝下静脈にDVTが認められた。DVTに対してヘパリンが処方されたため、投与3時間後から離床を進めた。
e. 痛み止めとしてロキソニンが処方されていたので、消化性潰瘍に注意しながら離床を進めた。

1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,e 5.a,c


【回答】

正解 3

解説

a:カップの前方開角の理想は15〜20°。これ以上になると脱臼のリスクが高まる。動作指導等、脱臼に注意しながら離床を進める必要がある

b:初回抗菌薬投与後はアナフィラキシーショックなど副作用出現の可能性が  あるため、投与後30分以上間隔をあけてから離床を行うのが望ましい

c:ホーマンズ徴候の感度、特異度はそれぞれ、33〜48%と41〜79%である。  ホーマンズ兆候が陽性という所見だけでDVTの確定診断にはならず、その他の所見も含めて総合的に判断しないとならない

d:2016年にアメリカ理学療法士協会から発表された「DVT と診断された患者に対するアプローチのガイドライン」では、DVTに対する治療がヘパリンであれば、48時間後から離床可能であると時期が決められている
しかし、日本では各施設でのコンセンサスを得られてから用いることが大切である

e:ロキソニン等、NSAIDsの副作用として代表的なものに消化性潰瘍がある  腹痛等注意しながら離床を進めていく必要がある