日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

急性期栄養療法の理論と方法 クイズ1

糖新生とグリコーゲンに関する問題

糖質は最も使用しやすいエネルギー源です。糖質の貯蓄形態であるグリコーゲンがどれだけ体内にあるかを意識することは、急性期の栄養状態を把握する上で非常に大切です。以下の糖新生やグリコーゲンに関する問題をチェックし、急性期の栄養療法をマスターしましょう。

Q. 糖新生とグリコーゲンに関する以下の記述で正しいものはどれか?

選択肢:

  1. 筋肉に貯蔵されたグリコーゲンは、筋肉以外の脳などの重要臓器でも利用できる。
  2. 糖質以外の栄養素からグルコースを作る糖新生は、大部分が腎臓で行われる。
  3. 各臓器のグリコーゲン貯蔵量が飽和すると、糖質からのエネルギーは脂肪酸合成にシフトし、脂肪が増加しやすくなる。
  4. 脳は400kcal/日程度のエネルギーを必要とするため、急性期に1日でも絶食すると脳へのグルコースの供給は足りなくなる

正解 3.

解説:

1.筋肉に貯蔵されたグリコーゲンは、グルコース-6-ホスファターゼというグルコースを血液中に供給するための酵素が筋肉にないため、筋肉外に出すことができない(脳などのほかの重要臓器では使えない)。

2.糖新生の大部分は肝臓で行われる。腎臓でも糖新生をおこなうことができるが、それは飢餓時の代償反応であり、通常時の糖新生の場は肝臓である。

4.通常の肝臓でのグリコーゲン貯蔵により、1日くらいは絶食をしても脳へのグルコース供給は達成されやすい(2日目以降には糖質枯渇となり、筋タンパク崩壊が始まるため補給が必要)。

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