進行する疾患や予後不良とわかっている患者さんのケアや離床に関わると、ときにスタッフが傷つくような攻撃的な言葉を言われることがあります。そんなケースにはどう対応すればよいのでしょうか。
強い負の言葉を投げかけられたときに、医療従事者だから、ニコニコ仏のように接すればいいというのは間違いです。誰でも攻撃的な言葉を言われれば、イライラするし、それが普通の反応です。では、イライラが暴走しないようにするにはどうするべきかというと、「思考の連鎖を断ち切る」のがお勧めです。
例えば、Aさんが攻撃的な言葉を言ってきたとすると、「なぜAさんは傷つくようなことばかり言ってくるのか→他の人にもあんな言い方をするのだろうか→親の顔が見てみたい……」と次々と思考がつながっていきます。でもこの思考の連鎖は、単なる執着となっていくだけで、解決につながりません。思考の連鎖は、「そう思っている自分に気付くこと」で止められます。
止め方は「なぜAさんは傷つくようなことばかり言ってくるのか、と私は思っている」と事実のみを頭の中で確認したら、以上、それっきりにする。イライラしているときは「私、イライラしているな」と客観視し、それでおしまい。「あんなこと言われたな」などと余計なことは考えず、イライラしている自分を客観視することだけにとどめるのです。
余計な思いが次々と矢のように飛んできたら、刀で次々と断ち切っていく。そんなイメージです。繰り返すうちに負の感情は徐々に放れて、自分という軸がしっかり見えてくるはずです。臨床でイライラしたら、是非、試してみてください。
6月30日(日) 14:00~16:00 ※2週間見逃し受講期間有り
生きて逝く命に寄り添う~余命少ない症例への接し方・離床の考え方~
【講師】玉置 妙憂 先生
https://www.rishou.org/seminar/theory/r65-2024#/