日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【ヘルシーアダルトモードを育てる】メンタルヘルスを改善するコツ 2

「ネガティブ思考がなかなか治らないのですが、改善するにはどうすればいいですか?」という相談について、連載で回答をお届けしています。同じように悩んでいる方は、是非、ご覧ください。

前回は、ネガティブ思考は、幼少期に形成された「内なる親」による自己否定が原因で、自己肯定につなげるには、ヘルシーアダルトモードが必要とお伝えしました。ヘルシーアダルトモードとは、自身の失敗や不十分な点を許容し、存在自体を肯定して愛してくれる、「理想の親」のような精神状態です。無意識下に存在する精神状態の一つであり、傷ついた「内なる子ども(脆弱なチャイルドモード)」を、いたわる役割を担っています。「内なる子ども」は幼少期の家庭環境や、親からのことばに影響を受け、傷つけられることを過度に恐れます。

その「内なる子ども」を攻撃してしまうのが、「内なる親(非機能的ペアレントモード)」で、幼少期に親から植え付けられた道徳的な信念によって、心の内側に形成されます。否定的な「内なる親」を幼少期から心に宿していると、絶えず否定されているような状態になり、「内なる子ども」は傷つけられます。また厄介なのは、実際の親が優しくなっていたり、亡くなっていたりする場合でも、「内なる親」は「内なる子ども」を攻撃してしまいます。そのため「内なる子ども」をいたわり、否定せずに受け入れるようなヘルシーアダルトモードを、無意識下に育てる必要があるのです。ヘルシーアダルトモードを育てるためには、自分の感情を客観視して観察する、「頭で理解する自分」を形成しなければなりません。

そのために活用したいのが、物事を別の枠組みで捉え直す「リフレーミング」や、自分の行動を肯定する根拠を記録しておく「ポジティブデータログ」などです。内なる親や内なる子どもを客観視するのに役立ち、ヘルシーアダルトモードを育てるアプローチになります。自分の心の環境を理解し、共感や肯定をしてあげれば、ネガティブな思考を否定せず、ポジティブな思考に変換できるようになります。その結果、自己肯定感を高めるきっかけになりますので、無理にポジティブになろうとせず、自分の心を受け入れることから始めていきましょう。

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