日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【成功体験としくじり体験】認知症の物盗られ妄想に関するQ&A

今回は認知症患者さんの物盗られ妄想への対応に関して、成功体験としくじり体験をシェアします。まずは成功した経験からお伝えします。

その方の様子が落ち着いている時に話を聞いてみると、「お金がないと、デイサービスのみなさんに迷惑をかけてしまうから」と、語られていました。つまり、その方は楽しく通っているデイサービスのスタッフに迷惑をかけたくない、という想い(心配)から、財布を盗られる不安があったと想像しました。

そこで、利用者さんと一緒に財布を見つけやすい場所へ置き、どうしても見つからない場合は、「お金はご家族からいただいていますよ」と、声掛けをするようにすると、物盗られ妄想が落ち着いたことがあります。物盗られ妄想では、症状が落ち着いているときにその方のニーズを探り、先回りした対応をすることで上手く対応できることがあります。

次に逆に失敗した経験を紹介します。

財布が無くなったと怒鳴っている利用者さんに、財布をみつけて、「ここにあるから大丈夫ですよ!」と、笑顔で伝えました。すると、その利用者さんは、怒りがおさまるどころか、無関係な人にまで怒りをぶつけるようになりました。その理由は明らかで、財布が無くなったことを不安に感じていた場面で、自分の近くにあったとわかれば、恥ずかしさもあり、怒りをぶつけるしかなくなってしまったのです。安易に「あったよ」と伝えるのではなく、話の流れや環境をうまく利用して、見つけてもらう工夫も必要であると感じました。

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