日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【今こそ知っておきたい】腸活の重要性1

下痢や便秘など、離床を促したいけれど、腸の不良を訴える患者さんに臨床で遭遇することはありませんか?腸の不調といえば、腸活って最近よく聞くけれど、何をすればいいの?と思ったことはないでしょうか。

そんな方のために、腸活の重要性を連載でお届けします。第1弾は「腸活って腸もみ!?」をお届けします。

腸活=腸をもみほぐす、と思っている人も多いと思いますが、それは間違いです。腸もみは、腸活の一つではありますが、それ以外にも離床・呼吸・ポジショニング・アセスメント・タッチングなど、腸活にはいろいろアプローチやアセスメントの視点があります。腸は消化と吸収という機能はもちろん、他にも色々な機能があるのです。

腸の重要なはたらきの1つは免疫機能です。口から入った食べ物は、食道、胃、腸と運ばれながら消化が進み、腸で栄養や水分が吸収されます。このとき、何でもやみくもに吸収しているわけではなく、それが味方(栄養素)なのか、敵(病原菌などの異物)なのかを識別する機能が備わっていることがわかってきました。

これは、風邪をひいたときの鼻やのどと同じようなしくみで、腸は異物に対する手荷物検査場であるともいえるのです。腸に病原菌が入った場合、免疫機能が働いて菌を攻撃するだけではなく、咳嗽やくしゃみのように異物を体外に出そうとする仕組みが働くので、感知した場所が胃などの場合は嘔吐、腸の場合は下痢となるわけです。

重要なはたらきの2つ目は、ホルモンを分泌することです。ホルモンが発見される前、全身の臓器は脳からの一方通行の命令だけで動いていると考えられていました。ところが、先行研究(文献1)で、脳とは独立した命令系統があることがわかり、命令を伝える物質はホルモンと名付けられました。Baylissたちが最初に発見したホルモンは、実は腸(十二指腸)で合成されるセクレチンでした。その後の研究で、血糖値に関わるインクレチンや胆嚢の収縮に関わるコレシストキニンなど、多数のホルモンが腸で作られることがわかっています。腸は、甲状腺や膵臓のような、重要な内分泌臓器ともいえるのです。

次回は「5つある便秘のタイプ」について紹介します。

W M Bayliss, E H Starling. The mechanism of pancreatic secretion. J Physiol. 1902 Sep 12;28(5):325-53.

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