日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.86 CO2ナルコーシスでの意識障害

質問

CO2ナルコーシスが発生するメカニズムについては理解できましたが、何故意識障害が起こるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

CO2ナルコーシスは慢性Ⅱ型呼吸不全の方に起こることが多く、
1.呼吸性アシドーシス
2.意識障害
3.自発呼吸の減弱
を呈する症候群と定義されています。

では、何故意識障害が起こるか?と申しますと直接の原因は一つ目のアシドーシスです。

二酸化炭素が体内に蓄積すると、H+濃度が上昇しpHが低下、アシドーシスになります。

アシドーシスは初期には吐き気・嘔吐を起こし、進行すると意識障害を引き起こします。

CO2ナルコーシスを疑う場合には、早期に換気補助(NPPVなど)を行い、意識障害を起こさないことが重要です。

CO2ナルコーシスは、慢性Ⅱ型呼吸不全患者さんに対し、高濃度酸素投与を行うと発生するケースが臨床では多く、酸素投与は慎重にする必要があります。

低酸素血症は改善すべき病態であるため、Ⅱ型呼吸不全患者さんにおいては、SpO2 90%程度をキープするように管理すると良いと思います。
CO2ナルコーシスのリスクが高い患者については、医師とSpO2低下時の対応を十分に相談してから介入を実施してください。