日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.82 視床痛の発生メカニズムについて

質問

先日、視床出血の患者さんで視床痛と診断された患者さんがいました。どのようなメカニズムで起こるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

視床痛はその発生メカニズムは明確になっておらず、有効な治療法も確立されていません。

責任病巣としては、視床の後外側腹側核(VPL)といわれています。VPLは体性感覚の中継点(外側脊髄視床路)でもあり、この部分あるいは周囲からの異常伝導が疼痛の原因と考えられています。

治療としては、薬物療法が一般的ですが、NSAIDsは効果がなく、抗うつ薬や微量の麻酔薬などが用いられることがあります。

また、その他の治療としては、電気刺激として、大脳皮質運動野刺激が視床痛に効果があるという報告もあります。

疼痛により抑うつ傾向となる場合も多く、離床・リハビリテーションの阻害となるため、心理面も含めたアプローチが重要になります。

有効な解決策がない事例で大変かと思いますが、そのような事例こそ、多職種で協力して介入を考えていってください。