日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.81 徐脈高齢者の離床をすすめるべきか?

質問

誤嚥性肺炎から廃用症候群の80代男性です。離床は週1回リハビリのときのみです。臥床時は40~45回/分の徐脈ですが、離床時は50~55回/分くらいに上がります。頭痛の訴えや発熱を繰り返すため、車椅子乗車する機会も少ないのですが、積極的に離床した方が良いのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

ズバリ離床は必要だと考えます。繰り返す発熱は、恐らく臥床時間に不顕性誤嚥を起こしていると推測するからです。このような症例では、ヘッドアップや体位変換を積極的にすすめる必要があると思います。
リハビリが週一回ということで、限られた介入かと思いますが、車椅子移乗は大変でも、ヘッドアップや体位変換であれば、病棟スタッフの協力も得られやすいと思いますので、是非、依頼してみて下さい。その際、ヘッドアップ角度とその際のバイタル、そして体位変換(前傾側臥位等)時の留意点など合わせてお伝えすると介入しやすいかと思います。その結果、発熱の頻度が減った、痰が減ってきたなどの効果が共有できれば、きっと介入の輪、介入の幅も広がると思います。
一方でリスク管理としては、徐脈傾向であるということですが、徐脈ながらも離床に対して脈拍の上昇はみられているので、起立耐性はある程度保たれていると考えられますが、可能であれば、徐脈の原因を心電図でチェックできるとよいかと思います。併せてフィジカルアセスメントの変化にも注意して下さい。