日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.79 動脈血液ガス分析の代償反応の実際

質問

代謝性アシドーシスの場合、換気(呼吸)を亢進して代償するということですが、詳しく教えていただきたいです。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

酸塩基平衡(pH)は呼吸(動脈血二酸化炭素分圧:PaCO2)と代謝(重炭酸イオン:HCO3-)のバランスで規定されるのでしたね。

代謝性アシドーシスの場合、HCO3-が少なくなった状態でした。

仮に呼吸に問題が無ければ代償して、何とかpHを中性(7.40)に近づけようとします。

この場合は酸であるPaCO2を飛ばすことが出来れば、アシドーシスに傾いた酸塩基平衡を中性に近づけることができます。つまり換気を亢進させること代償反応として働きます。

換気を亢進させる方法は、
・呼吸数を増加させる
・一回換気量を増やす
・上記2つ両方
の3通りです。

代償反応の大原則は、「元の変化の割合を超えない」でしたので、呼吸性アルカローシスになるまで換気を亢進することは基本的にありません。

しかし、人工呼吸器を使用している場合、設定により換気が過剰に亢進すると、呼吸性アルカローシスになる場合もあります。

人間の身体は様々な防御反応がありますが、一方で我々にとってはアセスメントが難しく感じる部分でもありますね。

病態と代償反応をうまく見極めて、急変予測や離床可否の判断につなげてください。