日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.78 長期療養中の患者さんへの関節可動域エクササイズ実施の目的

質問

老人保健施設などで長期寝たきりの患者さんを担当することがあります。 コミュニケーションもほとんどとれず、全身の関節拘縮も認められる患者さんに対し、関節拘縮の維持という指示や多職種でもプランが立案されるのですが、実施にあたりどのようなポイントがあるでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

老人保健施設などでは、このような問題で悩んでいる方が多いと思います。長期寝たきりの患者さんでは関節拘縮は避けられない問題です。

実施に当たっては、全身の関節拘縮予防・可動域維持という観点からアプローチすることも重要ですが、 下記のようにADLにつながるようなアプローチも必要と考えます。

呼吸困難感がある場合:肩甲帯~肩関節周囲~胸郭
上着の着替えが困難な場合:上肢
オムツ交換や下着の着替えが困難な場合:股関節周囲~膝関節
起立や移乗が困難な場合:下肢
というようにADLに直結する様な目的をもって行うと、 実際の生活改善の期待も出来ますし、 スタッフの業務(介助)量や、安全面の改善になるのではないでしょうか。

ただし、意思疎通が困難な患者さんは疼痛の訴えなど難しい場合もあるかと思います。 実施する際には、顔色や四肢の反応などに細心の注意を払って下さいね。