質問
血管内脱水時の所見の中で下大静脈のエコーの話がありましたが、どれぐらいを目安に異常を判断すればいいですか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
血管内自体にボリュームがないということは、心臓にとっては糠に釘を打つような状態です。
このため血圧が維持しにくくなります。クリティカル時には血管内ボリュームが少なくなっていることもあり、離床等を行う際に血圧を維持できなくなるため注意が必要です。よって、あらかじめ血管内ボリュームを把握しておくことで、血圧の低下リスクや要因が事前に推測できます。
方法は、下大静脈は心窩部(胸骨剣状突起より下の部位)あたりにプロープを当て、右心房手前の下大静脈を抽出し、その径をエコーで確認します。
文献や被験者によって、数値は異なりますが、径が20㎜で50%程度の呼吸性変動があれば、右房圧は、5~10mmHg程度あると言われています。
(参考:日本循環器学会 循環器病の診断と治療に関するガイドライン 2009)
血管内脱水があると下大静脈は、ほとんど潰れたような状態になります。対して、うっ血では、2.0㎜以上で呼吸性変動はほぼなく、非常に張ったような所見が見られます。
クリティカルな状況下では、血管内のボリュームが変動しやすい状況があります。下大静脈のエコー所見ではよりダイレクトな血管ボリュームの評価が行えます。フィジカル所見、尿量などを含めた水分出納バランス等の所見等をふまえて、より安全な離床を検討する材料として加えてみてはいかがでしょうか?