日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.70 急性期における関節可動域訓練の留意点

質問

急性期において、関節可動域訓練をする注意点や禁忌などを教えてください。また人工呼吸器やドレーン留置などの際も行ってもよいものでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

関節可動域訓練やリラクゼーションテクニックは、意識障害がある場合や、積極的な離床が困難な場合など、基本的には看護やケアの一環として早期から出来るアプローチの一つです。

人工呼吸器管理における挿管や気切の状態にある方にも関節可動域訓練やリラクゼーションテクニックは可能です。ただし、頭頸部は動かすことで挿管部位や気管切開部位に、過度のストレスが加わる恐れがありますので、主治医への相談と細心の注意を心がけましょう。

IVHや末梢部位のラインについても注意が必要です。一般的には関節を動かすことで、刺入部の状態の変化、点滴の抜去、血管損傷、点滴の漏れなどが起こらないかを確認しながら行いましょう。輸液ポンプを使用している場合は、閉塞のアラームが鳴れば、その角度は「曲げすぎ・伸ばしすぎ」と目安に出来ますね。

また、長期臥床による骨粗鬆症の方や、重症心身障害領域などは、過度の他動運動により骨折のリスクもありますね。

なお関節炎などの局所の感染症や、未治療の骨折部位などは禁忌となります。

留意点と適応をしっかり見極めてケアに当たってくださいね。