日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.680 【どのくらいの強さが必要?】呼吸リハビリに関するQ&A

質問

自己排痰を促すために、咳の強さはどのくらいの勢いを目指せばよいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

ズバリ、自分で排痰できるレベルである、PCFで240L/min 以上を目指しましょう。排痰のためには、咳に勢いが必要で、その勢いを評価する指標に咳嗽時の最大呼気流速(PCF:Peak Cough Flow)があります。

中高齢者の入院患者を対象とした研究(文献1)では、自己排痰可能なレベルはPCF 240L/min以上、吸引が必要となるレベルはPCF100L/min 未満であると報告しています。PCF が240L/min に満たない症例の場合は、自己排痰ができない可能性を考え、徒手的呼吸介助や機器による咳嗽の必要性を検討しましょう。PCFは、ピークフローメーターという、比較的簡易的な機器で測定できるので、リスクの高い患者には、用いることで有用な情報が得られます。

また、咳はエネルギーを消耗するので、咳の強さをアセスメントして、強さに応じたケアを選択することが重要です。