日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.68 脳卒中患者のけいれん後の麻痺の増悪

質問

脳卒中後の患者さんでけいれん後に麻痺が増悪しましたが、翌日には元の状態に戻っていました。何が起こったのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

脳卒中後の患者、特に皮質下の障害では48時間以内にけいれんを起こす可能性が高いといわれています。また、発症後2週間以降のけいれんは、継続的にけいれんを起こす可能性があり、症候性てんかんとして治療をしていきます。

けいれんによる激しい骨格筋の不随意運動により体内の酸素消費量が上がり、けいれん中は呼吸障害を呈していることが多く、低酸素脳症となるリスクがあります。

けいれんの持続時間が長い場合、けいれん後に意識が回復しない場合は緊急度が非常に高いと言えます。

今回の質問ではどの時期の患者さんかは質問からは分かりませんが、疾患の時期に関わらず、けいれん後に運動麻痺を生じる場合があります。これは「Todd麻痺」と呼ばれ、けいれん後に一過性に生じる運動麻痺で、数時間~数日間で元の状態に戻ります。
48時間以上運動麻痺が持続する場合には、脳内異常(脳卒中)を疑い、一度脳画像検査を受けることが勧められます。

特に部分的けいれんから始まり、全身けいれんに移行するような場合をジャクソンマーチと言われ、けいれんの始まり部位に運動麻痺を生じる可能性があります。

講座の中でお話ししました、1プラス8のアセスメントをしっかり行い1)、けいれん後の症状を理解するために落ち着いて手がかりを得てみて下さい。

1)曷川元.フィジカルアセスメント完全攻略Book. p.154-157, 2014