日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.678 【暴れる患者さんの理由とは!?】認知症に関するQ&A

質問

認知症患者さんで、暴れるなどのBPSDは、ケアで改善できますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

BPSDの要因をアセスメントすれば、ケアによって改善できると考えます。BPSDとは、(Behavioral and psychological symptoms of dementia)の略で、日本語訳では「認知症の行動・心理症状」となります。このBPSDは、本人やスタッフ・介護者にとって「困る症状」ともいわれています。

BPSDは、認知症の中核症状(記憶障害や注意障害など)のほかに、脳病変やホルモン、その場の環境など、様々な要因が加わり起こります。大切なことは、中核症状とBPSDは重なる部分があるものの、治療部分で考え方が異なることです。中核症状は、徐々に進行しますが、BPSDの多くは、中枢性コリンエステラーゼ阻害薬で軽減・消失する可能性があります。そのため、一つずつ要因をアセスメントし、対応していくことが大切です。

過去の事例で、ベッド上で暴れている認知症患者さんがいました。この患者さんの暴れている原因は、言葉が出しづらい失語様症状という中核症状の中に、消化器症状という原因が隠れたことでした。この患者さんは、認知症の進行を抑制する、中枢性コリンエステラーゼ阻害薬を内服していましたが、この薬剤によって食欲不振・悪心が出現していたと考えられました。その後、休薬・減量することで、消化器症状が改善し、BPSDも軽減がみられました。

認知症の方の症状や訴えの裏に、薬物療法の影響が隠れている可能性もあるので、今回のケースを、皆さんのケア・離床に役立ててみてください。