日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.67 人工呼吸器装着中の気管内吸引のタイミング

質問

人工呼吸器装着患者の吸引について、複数の施設や病棟を経験してきました。2~3時間おきに行うところや、気道内圧が上がった時だけするところがあり、言われることが違いました。どのように考えれば良いですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

人工呼吸器装着中に関わらず、気管内吸引は時間で決めてルーチンに行われるべきではありません。何故ならば侵襲的手技であるので、不必要な実施は避けなければならないからです。

このような観点からすると、ご質問の「2~3時間おきに実施」と「気道内圧上昇時に実施」はどちらも間違いとなります。

「2~3時間おきに実施」は最初に述べた通り、時間で決めるべきではないからです。

「気道内圧上昇時に実施」は一見正しいように思いますが、気道内圧が上昇するのは、喀痰による場合だけではないからです。他にも、人工呼吸器との非同調、肺コンプライアンス低下、回路トラブルなど様々な要因が考えられます。

これらの原因でないことを確認し、ラトリングの有無、聴診などで喀痰の有無を確認してから気管内吸引は実施すべきと考えます。

勿論、気管内吸引が適切に実施されず、気道閉塞をすれば、重大な有害事象・医療事故に繋がるリスクもあるため見逃せません。

重要なことは観察を頻繁に行い、ケアの必要性を判断できることだと思います。
施設の昔からの風習的行為を変えていくことは、エネルギーも要りますし大変かと思いますが、少しでも根拠のある介入を考えていく姿勢は素晴らしいと思います。頑張ってください。