日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.66 在宅領域における人工呼吸患者の事故抜去時の対処方法

質問

人工呼吸器管理の利用者さまから、訪問リハビリの依頼があり、訪問開始となりました。しかし、呼吸器の管が抜けてしまったら、どのように対応すればよいのか不安を感じています。何かルールなどありましたら教えていただけますでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

近年、地域包括ケアや病診連携強化、在院日数の短縮化に伴い、在宅でより重症例をみることが増えてきております。
人工呼吸管理の利用者さまも少なからず依頼があり、その対応に慣れていないスタッフからすると、怖いものですよね。うん、実際ですよ、なんて脅すつもりはありません。

管が抜けてしまったときの対処法を早速お伝えしましょう。

まず、一番初めに確認すべきは、利用者さんの呼吸状態・呼吸器の設定です。
CMV等の調節換気(自発呼吸が無い)なのか?
SIMVやCPAP+プレッシャーサポート等(自発呼吸がある)なのか?
この設定によって人工呼吸器が装着されていない場合で、どの程度、持ちこたえられるか変わってきますね。

次に、対応法についてですが、家族が手技を指導されており、対応が可能なケースもあります。そうでない場合はすぐ主治医に連絡をしましょう。

主治医が到着するまでは、気管切開部分に清潔なガーゼをあてがい、鼻カニューレで酸素投与し、バイタルの変動がないか観察しておきます。

喉頭気管分離術を行っている利用者さまの場合は、換気ができる道は気管切開部分しかありませんので、気管切開部分にマスクをあてがい用手換気が必要なこともあります。小児の場合、気管切開部分が閉鎖しないよう、吸引チューブなどを入れておくことも必要なことがあります。気管切開部分周囲は肉芽形成等が生じ、傷つけると出血する危険性のあるケースもあります。

安易にカニューレを戻し入れることは避け、必ず医師に対応方法を確認し指示を受けて下さい。

予期せぬ自己抜去もありますが、多くは体動時に起こることが多いため、日頃から固定に気をつけておきましょう。ただし抜去を恐れるがあまり、固定バンドをきつくしすぎて、気管切開部分の発赤や損傷をしては本末転倒ですからご注意を。

また重要な視点として人工呼吸器を離床やケアの阻害因子としないことも押さえておきたいですね。むしろ呼吸を肩代わりしてくれる味方なのですから。

是非、これらの情報をいかし、臨床をお腹いっぱい楽しんで、より良いケアを続けてください!
当会も応援しております。