
質問
離床中に意識レベルが下がった場合、どのような障害を疑えばよいですか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣
離床中の意識レベル低下の原因は多岐にわたりますが、特に注意すべきは、起立性低血圧、低血糖、迷走神経反射、けいれん発作の4つです。それぞれどのようなときに起こりやすいかを踏まえ、原因を考えることが大切です。
長期臥床や脱水のある患者さんは循環調節機能が低下しており、起立性低血圧を起こしやすくなります。パーキンソン病、脳卒中、脊髄損傷、糖尿病などによる自律神経障害がある場合も、起立性低血圧による意識障害を起こすリスクがあります。
糖尿病患者では低血糖による意識障害にも注意が必要です。特に空腹時や朝の離床直後は低血糖が起こりやすいため、食後1〜2時間を目安に離床を促し、血糖値が不安定な場合は病棟と連携して安定しやすい時間帯に設定しましょう。また、離床直後は安定していても、夜間から翌朝にかけて低血糖を起こす場合があるため、離床後の経過確認も必要です。
術後の初回トイレ時には排尿や排便による刺激や緊張、疼痛、脱水などが誘因となり、迷走神経反射による意識レベル低下の可能性があります。悪心、冷汗、ふらつきなどの前駆症状に注意し、転倒リスクに備えた環境下で、初回の離床を行うようにしましょう。
脳卒中で皮質病変のある患者さんでは、けいれん発作のリスクがあります。このようなケースでは、事前に病変部位や抗てんかん薬の使用状況などを確認し、離床中は手足のぴくつきや急な動作停止、意識の変化などがないかを十分に観察しながら対応することが大切です。
このように離床時の意識障害の原因はいくつもありますが、疾患や病態によるリスクを事前に把握して、意識障害が起こると予測して事前に準備した上で、離床を進めるようにしましょう。
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