
質問
街並み失認でトイレから部屋までの経路が覚えられない患者さんがいます。どんなアプローチを行えばいいですか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣
患者さんが手掛かりとしやすい補足情報を見つけ、
補足情報をもとに経路を覚える練習を行うことが有用だと考えます。
街並み失認とは、知っている場所で道を間違えて迷ってしまう症状で、
責任病巣は海馬傍回後部とされています。
まず、入院環境は慣れている場所とは言えないので、
本当に街並み失認で経路がわからないのか、
記憶障害の影響なのかを評価した上でアプローチの戦略を立てるべきです。
街並み失認の影響が大きいと考えられた場合は、
目的地までの経路の補足情報を提示し、目的地まで移動できるか練習します。
補足情報を提示する方法として、
「文字だけ」「文字と地図」「写真入りの地図」などさまざまなパターンを試しましょう。
一般的には「写真入りの地図」が容易に思えますが、
街並み失認では写真の情報と実際の風景が混乱を起こし、
かえって移動が困難になるケースもあるため、いくつかのパターンの提示が重要です。
それぞれの補足情報の提示で移動を行ってみて、
患者さんが間違えの少ないものや、効果を感じる方法を探っていくのがお勧めです。
参考にしてみてください。
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