日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.65 褥瘡とエアーマットレスの関係

質問

褥瘡は一定の場所に圧が加わることで発生しますが、圧分散目的にクッションだけでなく、エアーマットレスを積極的に用いたほうがよいのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

ご質問の通り、褥瘡とは同一部位に圧やズレ(外力)が加わり、組織が血流不全をおこした結果、壊死する病態です。褥瘡とは「できるのは一瞬、治るには長期間」と言われています。

褥瘡の予防には、
・圧力を小さく
・摩擦を小さく
・清潔にする
・栄養状態を良くする
・長時間の同一姿勢を避ける
の5点が挙げられます。

上記の「圧力を小さくする」目的に、エアーマットレスが用いられます。

まず圧力を小さくするには、「動くこと(離床)」が大切になります。
実際には、私たちも常に圧を受けて生活していますが、無意識に身体を動かして、持続的に加わる圧を分散しているので、褥瘡ができることはありません。

褥瘡が発生される方は、身体を動かすことが容易ではなく、誰かの手を借りるか、福祉用具を用いて、圧を分散することが必要になります。

圧分散によく用いられるのが、エアーマットレスですが、・・・導入すれば安心でしょうか?

実は、現在ではマットレスにも種類があり、その特徴は多岐に渡ります。大きく分けると褥瘡の発生しやすい部位である、骨突出部位に対する圧の持続時間を短くするエアーマットレスと、身体とマットレスとの接触面積を広くするウレタンフォームマットレスなどがあります。

圧切り替型エアーマットレスには、「接触部分への持続時間を短くする」機能があります。自力で体位変換が困難な患者さんの場合には、標準マットレスやウレタンフォームマットレスより褥瘡予防効果が期待できるとされています。

その一方で、患者さん自身が動きにくい、座位保持が困難になる、浮遊感による不快などデメリットも多くあります。導入しておけば安心という考え方は非常に危険です。自身での体動や離床が可能であれば、「動ける」環境設定も必要です。意識レベルが保たれているのであれば、不快感は筋緊張を亢進させ、可動域制限を助長し、活動性を低下させる恐れがあります。

褥瘡予防=エアーマットレスではなく、エアーマットレスを導入する際には、自分で動けない、介助者の介護力(2時間体位変換)などを、総合的にアセスメントしてから、導入を検討しましょう。