
質問
EFの計測法でTeichholz法と2D法はどちらを信頼すれば良いのでしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣
心不全の患者さんでは、2D法が有用です。その理由を解説していきます。
左室駆出率(EF)は、左室の拡張容積と収縮容積をもとに算出されます。この容積を推定する代表的な方法として、「Teichholz法(ティーショルズ法)」と、2Dエコーによる「Modified Simpson法」があります。それぞれ、心臓の距離を測定して容積を推定する方法ですが、計測式と適用となる精度に違いがあるため、用途に応じた使い分けが必要です。
Teichholz法は、1次元のMモードエコーを用いて左室内径(短径)を測定し、拡張期と収縮期の直径をもとに推定式を使って容積を算出します。計測が簡単ですが、心室形状が楕円体である前提のため、心不全や心室壁運動異常がある場合には精度が低くなりやすいのが特徴です。
一方、2D法(Modified Simpson法)は心尖部2腔像と4腔像の2つの断面を使用し、心臓の長軸を20個の小さな円柱状のディスクに分割して、各ディスクの内径を測定します。2D法は、虚血性心疾患などの左室形態が不整な場合でも精度が高いため、心不全患者においても信頼性の高い測定法です。
それぞれの方法において、EF 40%以下の場合は、バイタルサインや息切れ、呼吸困難、倦怠感などの心不全症状に注意しながらを離床を検討することが重要です。離床中は心電図を連続モニタリングし、心拍数や血圧の変動、心電図の変化を随時確認しながら、無理のない範囲で段階的に進めていきましょう。
Tweet