日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.637 【赤血球の大きさで症状が変わる?】貧血に関するQ&A

質問

平均赤血球容積は高くても低くても貧血を示すということですが、違いは何ですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

平均赤血球容積(MCV)は貧血の分類に活用されるデータです。MCVの基準値は83.6〜98.2 fLで、MCVの値が100 fL以上の場合は大球性貧血と呼ばれ、正常な形ではない大きな赤血球が作られます。反対にMCVが79 fL以下の場合は小球性貧血と呼ばれ、正常な形ではない小さな赤血球がたくさん作られる状態です。小球性貧血の多くは鉄分の不足や自己免疫疾患などによる慢性の炎症によって起こります。それぞれの貧血に特徴的な症状がみられるため、MCVの値からどちらであるかを判断し、離床時の症状変化に注意しましょう。

大球性貧血は、ビタミンB12や葉酸の欠乏による手足のしびれや感覚鈍麻、ふらつきなどの神経症状も現れるので、転倒や打撲などに注意が必要です。

小球性貧血は鉄欠乏による酸素供給が不足しやすいため、持久力や筋力低下がみられやすい状態であるため、離床の負荷をかけすぎないように低負荷から開始し、休憩をこまめに挟んで状態を確認しながら進めましょう。

貧血にもさまざまな種類があるので、一緒くたに捉えずに、データから貧血の種類と症状の違いに注意して、離床のリスク管理を行うようにしましょう。