日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.60 在宅酸素療法の設定~「同調」と「連続」の違い~

質問

在宅酸素療法(HOT)の機器(携帯用)の設定にある、「同調」と「連続」はどのように使い分けたら良いのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

結論から言いますと、「同調」の方が酸素化に良いため、労作時に用いられます。それぞれの違いを解説していきます。

一回換気量500mL、吸入時間1秒、酸素2L/分、呼吸数20回/分の患者さんを例に説明します。

連続流
いわゆる病棟の酸素療法と同じで、設定した酸素流量分の酸素が、同じ量連続して流れている状態です。

患者さんの一回の呼吸(吸気)に提供される酸素は、2000mL/60秒=約33mLの酸素となります。実際の吸気は、この酸素と残りの467mlの大気を一緒に吸い込みます。しかし、気道には解剖学的死腔が150mL存在するため、吸い込んだ後半の空気(150mL)はガス交換には役立たず、つまり肺胞に届いている酸素は「33mL以下」となります。

同調流
同調流では、患者さんの吸気に併せて酸素を供給します。患者さん吸気(陰圧)を感知した直後、酸素を瞬間的に送ります。(人工呼吸器のプレッシャーサポートのイメージ)そのため、上記設定では供給された33mL全ての酸素が肺胞に到達するので、連続式より酸素化が良いとされています。

同調流のデメリットは、機種にもよりますが、
・音がうるさいので公共の場には不向き
・頻呼吸では同調性が悪い
などの問題があります。

多くの携帯用酸素機器ではこの同調と連続併用タイプです。
患者さんのADL場面に併せて、使い分けを指導すると良いと思われます。