日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.59 CHDF施行下での離床の注意点

質問

CHDF施行中に離床を行う場合の、注意点を教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

まず、CHDFとは持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration;CHDF)のことを指し、CHDFはHD(血液透析)とHF(血液濾過)を24時間持続的かつ緩徐に行う血液浄化法です。ゆっくりと、少しずつ行うので、循環動態への影響が少ないという利点があります。

透析と聞くと=腎不全と捉える方も多くいますが、CHDFは腎不全の患者さんだけでなく、重症心不全など循環不全の患者さんや、術後に水分管理を必要とする患者さんにも施行されます。

さらに、侵襲や感染等を契機に発症する、全身性炎症性反応症候群(systemic inflammatory response syndrome;SIRS)に対して,サイトカインを除去する目的でCHDFを施行することもあります。

CHDFでは,バスキュラーアクセス(ブラッドアクセス)という血液を体外に抜き出すための管と血液を体内に戻す管が必要で、頚部の内頸静脈,鎖骨下静脈、大腿静脈のいずれかを選択し、カテーテルを留置します。

CHDF施行中に離床を行う際の注意点は、
・起立性低血圧
・バスキュラーアクセスの閉塞
が挙げられます。

起立性低血圧については、緩徐な血液浄化法ではありますが、回路内に血液が流入し循環血液量が減少すること、さらに、除水を行っている場合もあること、以上2点より、十分な注意が必要かと思われます。

バスキュラーアクセスの閉塞については、CHDFの機器にピローが付いていれば、膨らんでいることを確認し、万が一膨らんでいない場合には、閉塞している可能性があるため、離床は一旦止めて、バスキュラーアクセスの穿刺箇所の変更や、ヘッドアップ角度などを調整しましょう。

近年では、たった数日の臥床でデコンディショニングという多臓器への廃用が、考えられています。離床が行える状態とアセスメントできれば、デバイスが多くても離床を行うことを推奨します。

離床が無理と判断した場合にはアセスメントを継続して、離床のタイミングを見逃さないようにしましょう。