日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.58 洞停止時の補充調律について

質問

洞停止になっても、房室結節や心室にバックアップ機能があるのに何故補充されないことがあるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

確かに不思議ですよね。
補充される場合、されない場合の違いや、洞停止時間を明確に規定するものは成書にも記載がありません。不明な点が多いのが現状です。

洞停止の停止時間は、洞結節の機能(障害の程度)に依存すると考えます。
また、洞停止時の房室結節やヒス束、プルキンエ線維での補充調律が出るタイミングも、それらの機能によると考えられますので、一概に「何故」とはわからないのだと思います。

ひとつ言えることは、停止時間が長いほど、徐脈となり循環は不安定となります。それはイコール洞結節の機能がより悪いこと意味しますので、やはりペースメーカー適応となり、安易に離床をすすめてはいけない状態と考えられます。

心電図波形ベースで言えば、洞停止は、2度房室ブロック(Wenckbach型、MobitzⅡ型)や、非伝導性心房性期外収縮(Blocked PAC)との鑑別が困難な波形です。P-P間隔が整数倍に出現するか、逆行性の異所性P波が見られるかが
判別のポイントとなりますので気をつけてください。