日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.570 【痙縮で筋トレ!?】頚髄症に関するQ&A

質問

頚髄症による痙縮がある状況で、筋力トレーニングはすべきでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

結論からいうと、痙縮があっても筋力トレーニングはするべきと考えます。理由としては、痙縮のある症例では、筋力低下が生じているからで、痙縮は、筋収縮の開始までの時間は遅延しないものの、完全に筋収縮するまでに要する時間が遅延します。頚椎症の患者さんは、動作に必要な速度で、筋を完全に収縮させられない状況が生じるため、筋力が低下すると考えることができ、対策が必要なのです。

ご質問の意図としては、痙縮のある患者さんに筋力トレーニングを行うと、筋緊張が増強するのではないかと、懸念していると推察できます。痙縮患者さんを対象とした、抵抗運動が痙縮に与える影響を調査した研究では、抵抗運動は痙縮に有害な影響はなく、むしろ有益である可能性があったということです(文献1)。このことからも、痙縮が筋力トレーニングを避ける理由にはならず、ゆっくりとした運動で、強い筋収縮を要求するようなトレーニングを実施しましょう。

文献
Miller GJ, Light KE. Strength training in spastic hemiparesis: should it be avoided? NeuroRehabilitation. 1997;9(1):17-28.