質問
患者さんがどの程度、立てるのかを評価する「膝上げ」・「膝伸ばし」の説明がありましたが、しっかり足が挙がれば自立して立てると考えて良いですか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
膝挙げ、膝伸ばしは患者さんの下肢の力をスクリーニングし、起立動作能力を予測する方法です。
全く挙がらなければ「立てない」、少し挙がれば「介助で立てる」、十分挙がれば「自力で立てる筋力あり」となっています。
ここで注意することは、自力で立てる筋力がある=自立 とはならないという事です。
起立・立位保持に関係する因子は、筋力のみではありません。
もちろん、起立性低血圧に起因する循環動態や、運動耐用能に起因する呼吸状態等の評価も不可欠です。
加えて、安全に立位を保持するには下肢の感覚や協調性、精神状態、認知機能といった項目も必要となってきます。
実際の臨床現場でみているのは教科書ではなく、1人の人間であり、その安全性は1つの評価が大丈夫だから自立という端的なものではあってはなりません。
多角的な評価視点を持ち、実際の動作を見て自立かどうかを判断することを忘れないで下さい。