日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.55 ペースメーカのモードについて

質問

ペースメーカのモードはどのような疾患・状態で決めるのですか? 心外の術後ではDDD/DDI/VVIなど同じ疾患でもモードが異なり、 基準などあれば教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

ペースメーカのモードには色々ありますので何だか難しく思えます。
今回の相談は恐らく体外式ペースメーカの事だと想定して回答いたします。

ペースメーカのモードは3文字の国際ペースメーカコードによって規定されています。

その内訳は、
1文字目が刺激電極の位置(A:心房、V:心室、D:心房・心室)
2文字目が感知電極の位置(A:心房、V:心室、D:心房・心室)
3文字目が心拍を感知した際の応答形式(T:同期型、I:抑制型、D同期・抑制)

となっております。

当院では主にAAI、VVI、DDD、DDIの4つを使用しており、術後ICUではVVIが好まれます。

VVIでは最低限の心室収縮を保障しますので、心拍出量が保たれ術後管理に適しています。

術式にもよりますが、弁膜症の手術などで刺激伝導路付近に影響が出ますと、房室ブロックを生じ徐脈となる場合がありますので、このような事もVVIが好まれる理由のようです。

DDDは心房と心室の両方を感知し必要に応じて、ペーシング刺激が入るので最も生理的なモードと言われています。

また、体内にペースメーカを挿入した場合は一般的にDDDモードが好まれます。しかしDDDモードでは心房細動の場合に注意が必要です。

心房の細かい興奮に同期して心室をペーシング刺激してしまうと、頻拍となり、いわばVTと同じ事態が起こり心拍出量が低下します。

そのため、心房細動の場合にはDDI設定にし、同期機能を失くしてあげる必要があります。

一概にペースメーカモードの適応基準はありませんが、大切なのは目の前の患者さんに設定されているモードがどういうものなのかをしっかりと把握することです。コードの意味を理解し、どこをサポートしているのかが分かると、患者さんの変化にすぐに対応することができますので、ぜひお役立て下さい。