日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.53 気管カニューレ抜去時の対応

質問

気管切開中の患者さんをケアしている際、 もしチューブが取れてしまった場合、 応援がくるまでどのような事に注意が必要ですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

患者さんのケア中やリハビリ中に、気管カニューレが取れてしまう。なんて可能性もありますね。このような場合、最優先すべきことは「気道の確保」です。気管は切開され気道は開放している状態なので、基本的には気道は確保された状態ですが、気道分泌物が切開部へ貯留することなどで、呼吸が阻害されやすい状態になる場合もあります。

よって、気道を確保するため吸引などの準備をしておくことも必要です。

また、酸素投与中の患者さんの場合は、とりあえず単純フェイスマスクなどを利用して、気管切開部に酸素を送るなどの救急措置を行うこともあります。絶対にやってはいけないことは、抜けてしまったカニューレを再挿入することです。感染上の問題もありますが、特に切開部が不安定な場合、皮下挿入を起こしてしまう危険性もあります。また長期間、気管切開されている患者さんの中には、気道内に肉芽組織を形成してしまっている場合もあります。不用意に挿入し、組織を傷つけることで、気管内出血のリスクもあります。

上記リスクをしっかりと把握し、コメディカルしかいない場合、不用意に再挿入しないようにしましょう。我々が行うべきことは、患者さんの呼吸状態をしっかり確認して、ドクターコールを行うことであり、気道確保と低酸素出現の予防を行って待機しておくことが必要です。