日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.50 点滴ライン挿入部付近の関節可動域訓練実施に際してのポイント

質問

中心静脈カテーテルや四肢の関節周囲に点滴が挿入されているときに、 関節可動域訓練(ROMex)を行なう上で注意点はあるでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

点滴ラインの挿入部は、上肢では手首や肘、 下肢では足首などの関節周囲に挿入されていることが良くあります。 また、急性期では、鼠径部にカテーテルが挿入されていることも見かけます。

上記の場合にはROMexを行う際、 特に注意が必要となります。

これらが挿入されていた場合、 どこまで関節を動かしてよいかという明確な指標はありません。 一般には過屈曲などは避けるように言われています。

ここで鼠径部にカテーテルが挿入されている場合の具体的な方法について、 筆者はこう臨床で考えています。

それは輸液ポンプのアラームと関節を操作したときの角度です。

このような患者を車椅子に乗せた際、 深く座らせていると閉塞アラームが鳴りだす場合があります。 そこがその患者の動かしてはいけない角度と考えています。

股関節が90°屈曲していてアラームが鳴りだすのであれば、 その角度までは曲げてはいけないと考えています。

一方で、ベッドアップを60°程度実施していてもアラームが、 鳴っていなければ、その角度までは曲げても大丈夫だと推測できます。

一般的には点滴が関節を動かすことで、 刺入部の状態の変化や点滴の抜去や血管損傷、 点滴の漏れなどが起こらないかを確認しながら行いましょう。