日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.499 【ベテランの3ポイント】嚥下評価に関するQ&A

質問

ベッドサイドでできる嚥下評価でオススメのスクリーニング評価は何ですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

離床前のスクリーニングテストとして、筆者が最初に行うのは反復唾液嚥下テスト(RSST)です。RSSTは、30 秒間に3回空嚥下が出来るかみるテストです。ポイントは、空嚥下の回数だけをみるのではなく、①何秒間隔で嚥下できているか、②努力嚥下になっていないか、③喉頭挙上不全がないかをみることが重要です。

「嚥下の間隔」をみる理由は、嚥下筋は収縮時間が速く、収縮力の強い速筋の活動が有利と考えられています。そのため、RSSTが3回出来たとしても、1回目が2秒間、2回目が5秒間、3回目が28 秒間というように、後半になるにつれて遅くなる時は要注意です。このような時は、食事に時間がかかり、嚥下反射が起きにくく、誤嚥する可能性があるからです。

その他に、「努力性の嚥下」になっている場合も、実際の食事場面で疲労する可能性があります。そのため、嚥下筋の疲労も考慮し、食事時間の目安はおおよそ30分に終えるようにしましょう。また、「喉頭挙上不全」があると、喉頭周囲の残渣による誤嚥リスクがあるため、反復唾液嚥下テストを行う時には、必ず喉頭を軽く触れながら実施することもポイントになります。

このように、スクリーニング検査でも評価できるポイントは多くあるので、できるだけ多くの情報をみるようにしましょう。